Five ElementsかFive Phasesか:五行の訳語で問いが変わる理由
「Five Elements」という表現を見て、五つの物質を思い浮かべる読者がいます。「Five Phases」を見て、過程に目を向ける読者もいます。どちらも原文にたどり着く前から、英単語によって異なる期待を抱きます。
両方の訳語のもとになる中国語は「五行」、wuxingです。インターネット哲学百科事典は、木・火・土・金・水を、動的で相互依存する五つの枠組みとして説明しています。その説明からは、固定された構成要素の一覧と読まれるのを避けるために、訳者が「phases(段階)」や「processes(過程)」を使う理由が分かります。IEP:五行。
翻訳の問題は、実際の理解に影響します。初心者が「wood」を木材だけの意味だと思えば、木に関わる象徴的な関係は恣意的に見えるかもしれません。特定のモデルの中の活動を分類する言葉として捉えれば、別の問いが生まれます。この資料は、その分類にどんな関係を与え、それをどう使っているのでしょうか。
訳された言葉はモデルも伴う
連想をまったく伴わない英訳はありません。「element」には日常、哲学、科学での用法があります。「phase」は、次が始まる前に終わる一時的な段階を思わせるかもしれません。「process」は、仕組みを特定できる活動を連想させるかもしれません。どの選択肢も、何かを明らかにする一方、別のところでは誤解を招きえます。
そのため、選択には、その箇所に即した説明が必要です。「Five Phases」を使い、すぐに五行を指すと示したうえで、その文章に関わる意味を説明できます。一つの英語だけが常に正しいと宣言し、別の訳を使う本をすべて退けるより役立ちます。
読みやすさのために、慣用的な表現を残す翻訳もあります。目録で資料を探す読者には、「Five Elements」と「Five Phases」の両方が必要かもしれません。検索の語彙と分析の語彙では、目的が異なります。なじみのある表現で資料を探しても、その表現が現代に伴う連想を、すべて解釈へ持ち込む必要はありません。
役立つ問いは、その資料が分類をどう使うかです。名称だけでは、物、性質、対応、関係のどれを論じているかは分かりません。前後の文と、議論全体がその情報を示します。
関係を読むには動詞が必要
五つの名前の一覧は、その間の関係より覚えやすいものです。しかし、モデルが説明に役立つのは、関係があるからです。図に矢印があるなら、その資料では何を意味するかを尋ねます。生成、抑制、継起、あるいは別の働きを示しているのでしょうか。
二つの図が同じ五つのラベルを使っていても、矢印によって異なる主張をすることがあります。矢印の説明のない装飾的な図は、美しくても解釈しにくいかもしれません。凡例なしで学習ノートへ写すと、分類は残っても、作者が示そうとした関係は失われます。
丁寧に読むには、動詞を使います。「木と火はつながっている」で済ませず、文章がどう結び付け、その関係がどの問いに答えるかを特定します。資料に結び付きの説明がなければ、その不確かさを残します。別の分野で知った規則を補うと、もっともらしくても、学んでいる文章を誤って伝える文になりかねません。
物理的なイメージが、理解を助けも妨げもするのはここです。物理的な類推は、関係を覚えやすくできます。それを完全な説明や実験の証拠として扱うと、誤解を招きます。学習用の絵と、検証された因果の説明には、別々の基準が必要です。
対応関係の範囲は文脈で決まる
同じ語彙が、哲学の議論、美的な解釈、技術的な占術に現れることがあります。複数の分野に言葉があるため比較できますが、すべての規則を持ち運べるわけではありません。対応関係を借りる前に、元の文章がどの問いを扱うかを確認します。
五つの見出しで色を分類した、架空の教材図を想像します。その分類を使って、学習者が誰かの性格を説明したとします。二つ目の主張では、色の分類から人の分類へ移っています。図は語彙を与えたかもしれませんが、その人についての推論を確認したわけではありません。
役立つ比喩を普遍的な規則へ格上げするときも、同じ問題が生まれます。プロジェクトを「fiery(火のように激しい)」と呼ぶのは、筆者が感じた速度や強さの説明かもしれません。プロジェクトの中の物質を測っているわけではありません。別の筆者は、同じ形容詞を違う意味で使うかもしれません。比喩なのか、伝統に基づく言葉なのか、実証的な主張のつもりなのかが分かる説明が必要です。
医療での利用には、特に慎重さが必要です。対応関係の歴史的な説明は、身体の理解方法についての証拠です。それだけで治療の安全性や有効性は確認できません。健康の判断には適切な臨床的根拠と医療を用い、歴史上の枠組みは、歴史上の枠組みとして学びます。
ほかの元素論的な体系と比較する
五行のすべての分類を、別の伝統の分類へ対応させたくなることがあります。「water」のような共通語は、一覧が少し違うだけで、両者は同じことを述べていると思わせがちです。比較には、名詞が共通している以上の根拠が必要です。
実りある比較では、それぞれの説明の中で、その分類がどう働くかを尋ねます。どのような関係に入るのか。どんな説明を支えるのか。変化できるのか、変化とは何か。体系の答えが違えば、英語のラベルが同じでも、その違いを比較に残します。
翻訳は、違いを二重に隠すことがあります。まず両方の語に同じ英単語を与え、次に表で対応する位置に並べます。対応が最初から見せ方に組み込まれているのに、整った表を見ると発見したように感じるかもしれません。同等性を論じるときは、原語を見えるようにしておきます。
対応付けの限界も比べられます。ある対応案が一つの文章の説明には役立っても、別の文章には合わないとします。その失敗を記録します。限界が分かれば、部分的な類推は有用なままでありえます。二つ目の文章を無理に合わせると、比較から分かることは減ります。
実際の文章を読む
短い抜粋、出典、翻訳から始めます。五行という語が直接出ているのか、注釈者が持ち込んだのかを確認します。それによって、誰の主張を読んでいるかが変わります。現代の説明が妥当でも、元の文が名指していない枠組みを加えている場合があります。
次に、その文章の主張を、分類名を使わずに平易な言葉で書きます。できなければ、どの部分がまだ分からないかを特定します。「木には木の性質があるから、このように働く」といった循環する説明が見つかります。役立つ説明では、振る舞いと、それを分類に結び付ける規則を示します。
この問いを特定してから、別の翻訳を比較します。そうしなければ、表現の違いが、理解を変えない同義語の一覧になってしまいます。どの訳で関係が明確になり、それぞれがどの前提を読み手に補わせるかを考えます。
並び順も主張として読む
印刷された一覧では、五つの名前を何らかの順に置かなければなりません。説明のために選んだ順かもしれませんし、資料から写した順かもしれませんし、特定の関係を表すためかもしれません。そこに系列を読み込む前に、どれなのかを確認します。同じ語をすべて含んでいても、英語のアルファベット順の一覧と、相互作用の図では、明らかに目的が違います。
文章を学習カードにするとき、この区別が役立ちます。各カードの裏には、著者が述べる関係を残します。名前と色だけでも見覚えは付きますが、実際の議論が分からないままになりえます。説明には、その文章で対応関係が何をしており、どこまでしか述べていないかを書きます。
よい学習ノートには、よく使われる両方の英語名を残せます。たとえば、「五行はFive Phasesと訳され、Five Elementsともよく訳される」と示し、その資料での使い方を説明します。読者は本をまたいで使える語彙を得るとともに、知っている意味を持ち込む前に、その箇所の議論を確かめることを思い出せます。